盛岡地域雇用開発協会|盛岡企業ガイドブック

職業生活体験作文
優秀賞作品

こちらでは優秀賞に選ばれた9作品をご紹介いたします。

優秀賞
社会人になって感じたこと

盛岡セイコー工業株式会社

 私は今までやったことのないことをするのがとても苦手だ。やったことがないからそう感じるのも仕方のないことだろうと言われるが、周りは自分の言動をどう見てどう感じているのかが気になり、不安で仕方がない。

 書き出しからこんなことを書いているが、これは当初配属先でずっと思っていたことである。所属部署の業務内容は今まで私が苦手としてきたことの盛り合わせで、特に所属されてすぐの頃は他の人にとっては些細な事でもずっと悩んだり落ち込んだりすることも多く、毎日少しでもできることを増やそうと躍起になっていた。

 そんなことが続いたある日、必死に書いていたメモを何気なしに振り返ってみると、あの時はただ聞きなれない単語を書き留めていたに過ぎないものだったが、今になると意味だけでなく段々とその言葉が出てきた背景等の応用についても理解できるようになっていることに気付く。

 思えば目の前の業務に一生懸命になって気づいていなかったが、入社当初と比べたら少しずつできることが増えていたり、打ち合せで飛び交う単語や内容も分かるようになってきたり、実は少しずつ成長しているのだ。

 そう思うようになってから、色々なことを違う視点で考えられるようになった。今まで感じてきた苦手意識や不安感は案外やってみたら意外とできたという達成感に、ミスをして落ち込んだ時もむしろこの経験があったからこそ同じようなことが起こった時の対処に活かせるという自信に繋がっていると考えを変化させることができるようになったのだ。

 人の目が気になって仕方がなかった事も、同じ業務に携わっている人は自分と同じ議題について考えを持ち寄り、質を深めようとしているチームであると考えたら、意外と怖くないなと思うようになった。自分一人が全部知識を付けて仕事に臨むのはとても難しい。そんな時、普段の業務も所属年数も違う他部署の人と互いに知識を持ち寄って解決できるようにすることが素敵だということも感じた。

 できることが増え、視野を広げられるようになって気づいたのは、分からなくても小さい気付きを持つことは大事だということだ。断片的な作業をしていると受動的になりがちだが、分からないからこそ小さな気付きを大切にすることで主体的に物事に取り組むことができ、一つの考えに固執せずに様々な視点から問題にアプローチすることができるからだ。

 色々な人と関わり色々なことを学んだといえども、関わってきた業務は氷山の一角に過ぎない。これからも新しいことが増えると同時に不安になることも沢山あると思う。それでも、何事にもまず苦手意識を持つことから始めず、小さな気付きを大切にしながら着実に知識と経験を蓄え、自分のできることを増やしながら働いていきたい。