職業生活体験作文
優秀賞作品
こちらでは優秀賞に選ばれた6作品をご紹介いたします。
優秀賞
私の職業と将来への希望
菱和建設株式会社
生活の基礎である衣・食・住の『住』となる建物を作りたい、実際の工事の現場を知りたい、これが建築の施工管理を志した理由である。
入社して最初に配属されたのは新築工事の現場だった。着工から引き渡しまでを経験し、完成した建物が実際に使用されている場面も見ることができた。初めて自分が工事に携わった建物が、使う人の生活のニーズを満たすところを目の当たりにし、達成感が溢れ建設業の仕事を誇らしく思った一方で、私の手から離れていく寂しさも感じた。
入社二年目になり、私は改修工事の現場を担当することになった。その時の私は、新築工事の方がわくわくするし、改修工事は達成感や満足感は少ないのだろうと思い込んでいた。しかし、改修工事は想像していたよりも難易度が高く、初めての経験が多く驚きの連続だった。築年数が経過しても、今もこれからも人々に必要とされ続ける建物を、今後も安全に、そして快適に使用できるように修復することは、施工管理をする私たちの役割である。改修工事は修復するだけではなく、新築の時よりも建物の機能をより高いものにアップグレードすることもできるのである。バリアフリー機能を追加したり、用途に合わせて部屋を作り替えたり、長くたくさんの人に愛される建物にする工事は、やりがいが大きく価値のある仕事だと気付いた。
建物は何年以上経つと老朽化が始まるという決まりはなく、保全状況・立地条件、自然災害なども影響するが、老朽化した建物や使われなくなった建物は岩手県のみならず日本中に存在するため、環境・資源等の観点から利活用が求められ、長寿命化を考慮した改修工事や修繕工事の需要がなくなることはないだろう。
私は新しく建物を作りたい、新築工事こそが心躍り、達成感のあるものだと決めつけていた。しかし実際に改修工事を経験して、必要とされる建物をさらに良い物にして、安心して使えるように手を加えることは、とても重要な仕事であり紛れもなく人々の生活の持続可能性に大きな影響を与えることを認識した。
今日の作業が地元岩手の将来に繋がる、そう信じて誇りをもって明日も現場に出る。