盛岡地域雇用開発協会|盛岡企業ガイドブック

職業生活体験作文
優秀賞作品

こちらでは優秀賞に選ばれた6作品をご紹介いたします。

優秀賞
新天地での目標

サンエスコンサルタント株式会社

 約一年前の四月一日、私は知らない土地で、完全アウェイの新社会人デビューを果たした。

 地元は栃木県、大学の四年間は北海道で過ごした私が、新天地として選んだのは岩手県。四季が明瞭でごはんが美味しい所に惹かれた。私は就職活動を進めるうえで、どんな仕事をするかよりも、どんな環境で働きたいかを重要視していた。そのため今の仕事は全くの無知。建設コンサルタントという職種も知らなければ、業務内容も分からず、予備知識ゼロの状態で入社した。初めは何もかもが分からず、建設土木の業界用語や法律をひたすら調べ、基本的なパソコン操作や図面の作図練習に明け暮れた。しかし初めは中々上手くいかず、分からない所が分からないという最悪のループにはまってしまっていた。また、業界自体が男社会な面もあり、少数派の新人女性技師というポジションは、慣れるまでにかなりの時間と苦悩を伴った。何度か現場を経験し、やっと仕事に慣れ始めた矢先、無菌性髄膜炎になり私は一ヶ月の入院となってしまった。入院中は今後のことで頭がいっぱいで、せっかく覚えた仕事も記憶が曖昧になり、不甲斐ない自分が嫌で仕方がなかった。

 無事退院し職場復帰を迎えた当日は、入社日よりも緊張していた。そんな私を会社は温かく迎え入れてくれた。たくさんの方から心配され、体調を気遣っていただき、「無事回復してまた一緒に働くことができて嬉しい」という言葉が何よりも嬉しかった。それ以来、私は今まで以上に仕事に対するモチベーションが高まり、より一層会社や職場の方に貢献できるように努力したいと考えるようになった。

 また、仕事に対する興味関心もこの出来事をきっかけに増している。初めは遅れを取り戻したい一心で仕事や勉強に励んだが、最近では純粋な好奇心が勝り、新たな知識や技術向上に貪欲になっている。先輩方には遠く及ばないが、なんとか一人で図面が描けるようにもなった。入社前は全く興味のなかった仕事だが、今では人に自慢してしまいたくなるほど夢中になる仕事だ。まだまだ技師としては未熟だが、いずれは自分で設計した橋を見てみたいという壮大な目標もできた。

 日々技術が進歩する中で、純粋な好奇心と新たな知識や技術を取り込む貪欲な姿勢は、いつまでも持ち続けたい。そして、これまでの自分を支えてもらった方々に日々感謝しながら、新天地岩手県の未来を守る技術士として、日就月将していきたい。